自閉症スペクトラム障害 (ASD) の診断基準について（ICD-11）

自閉症スペクトラム障害（Autism Spectrum Disorder, ASD）は、神経発達障害の一種であり、人間の行動、社会的相互作用、コミュニケーション能力に影響を与える総合的な状態を指します。ASDは広範な症状を示すため、「スペクトラム」という用語が使われます。つまり、ASDには重度から軽度までさまざまな症状や特性が含まれることを意味します。

ICD-11とは何か

ICD-11（International Classification of Diseases 11th Revision）は、世界保健機関（WHO）によって策定された疾病と健康関連問題の国際的な分類体系です。ICD-11は医療現場や疫学研究などで広く使用されており、診断基準の統一性を保つための重要な基準となっています。

ICD-11におけるASDの診断基準

ICD-11では、ASDの診断基準が明確に定義されています。診断には以下の要件が含まれます。

社会的コミュニケーションの障害
狭い興味関心や反復的な行動パターン
これらの症状が発達初期に現れる
これらの症状が個々の日常生活に影響を与える
ASDの診断は専門家によって行われ、個々の症状や特性を評価しながら行われます。

ASDの早期診断は重要です。早期に診断された場合、適切な支援や介入が可能となり、症状の軽減や生活の質の向上につながります。家族や教育関係者、医療専門家が連携して、個々に適した支援を提供することが重要です。

ASDに関する研究は進展しており、個々の症状や特性に合わせた治療法や支援プログラムが開発されています。行動療法や言語療法、薬物療法などが総合的に組み合わせられ、個々のニーズに合った治療計画が立てられます。